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酪農・牛乳乳製品に関するご意見お問合せについて (FAQ)

酪農経営は、飼料価格の高騰や生乳需給の緩和などにより、昨年来厳しい経営環境にあります。これに対し、生産者団体や酪農乳業業界、国では、課題の解決に向けて様々な対策を行っています。
このページでは、酪農をめぐる課題に対応する業界の取組や国の対策、生乳の需要と供給の状況、乳製品の輸入の仕組みがどのようになっているのかなど、酪農家や消費者の皆様から御意見・お問い合わせの多い事項について、Q&A形式でお答えします。

  ※消費者や酪農関係者の皆様に分かりやすくお伝えすることを優先し、国際的な約束の法律解釈等について難しい表現を避け、厳密な表現としていない箇所があります。

動画一覧(外部リンク)
















Q&A一覧

【酪農経営向け】

<生産抑制に関するもの>

<乳価等に関するもの>

<貿易に関するもの>

<その他>

【消費者向け】


【酪農経営向け】

Q1.なぜ今、牛乳の生産を抑制しなければならないのですか。

A.2つの不測の事態がきっかけとなっています。
   まず1つ目は、生乳の需給バランスが崩れたことです。ここ数年、酪農経営では、生乳の生産量が好調に推移する一方で、新型コロナウイルスの発生以降、牛乳や乳製品の需要量が大きく減少しています。このため、令和2年度以降、生乳が余っている状態が続いています。〔参考01〕(PDF : 430KB)
   これに対して、酪農・乳業業界では、牛乳や乳製品の消費拡大に取り組みつつ、余った生乳を脱脂粉乳など保存のきく乳製品に加工し、在庫が積み上がりすぎないように対策を打ちながら需要の回復を待ってきました。併せて、国も、生産者団体と乳業メーカー等が行う在庫低減対策を支援してきました。
   しかし、脱脂粉乳の需要は回復せず、令和3年度末には、乳業メーカーの脱脂粉乳の在庫水準は過去最高に達しました。〔参考02〕(PDF : 382KB)
   2つ目は、酪農の経営収支が悪化したことです。生乳余りの状況の中、今年度に入り、ウクライナ危機や円安の進行などによる飼料穀物価格の高騰などにより、生乳の生産コストが上昇し、海外から輸入する牧草に頼ってきた酪農家ほど経営収支が急速に悪化、経営継続が危ぶまれる状況になりました。
   酪農に限った話ではありませんが、産業が持続的に発展していくためには、生産者は、求められる品質や供給量、価格など消費者ニーズに対応しながら、自ら収益の確保に努めていく必要があります。
   生乳の販売価格(乳価)等の交渉を担っている生産者団体は、今回の生乳の生産コストの上昇分を、乳業メーカーへの販売価格に転嫁しようとしてきましたが、希望する水準にまで上げづらい環境となっていました。というのも、牛乳や乳製品の需要が低迷している中、原料となる乳価が引き上げられることになれば、乳業メーカーは消費者への販売価格を上げざるを得なくなります。その結果、購買意欲が低下し、生乳の消費量が落ちて、さらに余ってしまうという悪循環が生じると懸念されたためです。
   酪農が、こうした困難な状況から抜け出すためには、まず生乳の需給ギャップ(需要量に比べて生産量が多い状況)を早期に解消する必要があり、生産者団体は苦渋の決断で自ら生産を抑えることを決めました。

Q1関連:国は増産方針を出していたのに、なぜ減産するのですか。

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Q2.国が減産を決めたのですか。

A.生乳が余っている状態で、乳価を引き上げるために必要な取組として、令和3年度末に、令和4年度の生産を抑制することを生乳生産者団体が自ら決めました。令和4年の秋に、令和5年度も引き続き生産抑制を行うことを決断しています。
【Q1参照】
   国は、生産抑制に取り組む酪農家の方々の負担を軽減するため、生産抑制の取組を令和5年3月から支援しています(令和4年11月に決定)。

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Q3.飼料などのコストが上がって経営が苦しいので、生乳を搾らなければなりません。それでも生産抑制をしなければいけないですか。

A.現在、酪農家の皆様が、搾りたいのに搾れない非常に苦しい状況にあるということは重々承知していますが、生産抑制の取組は、生産者団体が、酪農経営の改善に向け、乳価を引き上げるために必要な取組として推進しています【Q1参照】
   国も生産者団体も取組を強制しているものではありませんが、生産抑制が進められている状況を踏まえ、個々に判断していただきたいと考えています。

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Q4.生乳生産を抑制するのではなく、生乳を保存のきく乳製品に加工できないのですか。

A.従来から、生乳が余る時は、保存がきく乳製品(脱脂粉乳やバターなど)の製造を増やすことで需給を調整してきました。
   現在、バターの需要は順調に増えていますが、一方で、同時に製造される脱脂粉乳の需要は低迷しており、その在庫が過去最高水準に達しています。〔参考02〕(PDF : 382KB)脱脂粉乳の在庫がこれ以上積みあがると、乳業メーカーは経営を圧迫され、今後、生乳を買えなくなる可能性があります。
   このような状況で、乳価を引き上げると消費がさらに落ちて脱脂粉乳の在庫が積みあがる可能性があるため、生乳生産者団体は、やむを得ず生乳生産を抑える手法を選択してきました。【Q1参照】

Q4関連:諸外国では余った乳製品は国が買い取っていると聞きました。なぜ日本では生産者が対策費を負担するのですか。

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Q5.生乳生産を抑制することでバター不足になるかもしれないと聞きました。

A.バターの需要は堅調であるため、令和5年度の後半にはバターが不足する可能性があるという報道が一部で出ていますが、生乳の需要は、バターの需要だけでは判断できません。
   バターを作る時には、必ず同時に脱脂粉乳※1もできます。〔参考03〕(PDF : 314KB)現在、脱脂粉乳よりもバターの需要が高く、バターの需要に合わせて国産バターを製造すると、脱脂粉乳が余ってしまいます。
   このため、脱脂粉乳の需要も踏まえた生乳生産量に調整していく必要があります。
   Jミルク※2が公表した直近の需給見通し(令和5年1月)では、令和5年度も引き続き生乳が余った状態が続く見込みとなっています。このため、生産者団体では、令和5年度も生産抑制が必要と考えています。
   なお、平成26年度のバター不足時は、バターだけでなく、脱脂粉乳も不足していたため、生乳生産を増やす方向で業界も国も一緒になり動いていました。〔参考04〕(PDF : 542KB)
   
   ※1脱脂濃縮乳が製造される場合もあります。
   ※2(一社)Jミルクとは:日本のミルクサプライチェーンを構成する、酪農生産者・乳業者・牛乳販売店が一体となった業界横断的な組織です。

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Q6.生乳余りが解消すれば、また増産を支援するのですか。

A.生産振興のための支援措置を行うかどうかは、時々の需給動向や今後の需給見通し、生産状況を踏まえて検討がなされます。現時点で申し上げることはできませんが、今は、酪農経営を安定的に続けることができる環境を整えることが重要だと考えています。

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Q7.いつになったら抑制せず、生乳を搾れるようになるのでしょうか。

A.需給のギャップ(需要量に比べて生産量が多い状況)が解消すれば、通常の生産ができるようになると考えられますが、生乳出荷先の農協、指定団体や生乳流通事業者による乳業メーカー等への販売の考え方によります。
   需給ギャップの解消には、生産抑制だけでなく、牛乳の消費拡大や脱脂粉乳を使った製品(ヨーグルトなど)の需要の回復も重要と考えています。〔参考05〕(PDF : 543KB)
   なお、(一社)Jミルクが令和5年1月に公表した需給見通しでは、令和5年度においても生乳需給は緩和(供給が需要を上回る)傾向で推移する予測となっています。

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Q8.需給ギャップが解消しているかどうか、何をみれば判断できますか。

A.農林水産省は、毎月の生乳生産量や、乳業メーカーにおける牛乳乳製品の生産量、バター・脱脂粉乳の在庫のデータのほか、乳製品の大口需要者価格を公表しています(牛乳乳製品の生産動向)。前年同月比で増えているのか減っているのかかが一つの目安となります。このほか、(一社)Jミルクが年4回公表している「」(外部リンク)に年度の予測値が示されており、これも目安となります。

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Q9.コスト上昇はウクライナ危機など不可抗力によるものなので、国が責任をもって対応すべきではないでしょうか。

A.世界情勢の変化に伴う物価の高騰は、酪農業に限らずあらゆる産業が影響を受けて各事業者において経営努力がなされています。国は、特に国民生活や経済活動に大きな影響が及ぶと考えられるものについては、これまでも(外部リンク)を講じてきています。

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Q10.飼料などのコストが上がり、経営が苦しい中、酪農経営は様々な対策の費用を拠出しています。国はどんな対策を取っているのですか。

A.酪農経営の安定を図るため、国はこれまでも生産コスト上昇の影響を緩和する対策や需給改善に向けた取組への支援策などを行っています。
   乳牛の主要な飼料である配合飼料の高騰については、配合飼料価格安定制度が講じられていますが、現下の飼料高騰の影響を緩和するため、これまで総額1,200億円超を措置してきました。また、令和5年3月28日には、予備費による物価高克服に向けた追加対策を決定しました。この追加対策では、配合飼料価格の高止まりによる令和4年度第4四半期の生産者負担額の急激な上昇を抑制する特別対策を措置しました。また、令和5年度第1四半期以降、配合飼料価格が高止まりし、制度による補てんが急減することで、飼料コストが急増することが懸念されることから飼料コストの急増を段階的に抑制する「新たな特例」を制度内に設け、支援することとしました。このほか、酪農経営は、特に購入粗飼料の価格上昇により収益性が悪化していることを踏まえ、国産粗飼料の利用拡大に取り組む生産者に補てん金を交付することとしました。
   資金繰りに対しては、日本政策金融公庫の農林漁業セーフティネット資金等について実質無利子化・無担保・無保証人化等の支援を行うほか、金融機関に対し、返済猶予等の条件変更等についての配慮要請を行ってきました。
   業界における生乳需給の改善に向けた取組に対しては、乳製品の在庫低減対策や消費拡大対策、生産抑制の取組への支援を行い、酪農家や乳業メーカーの負担軽減を図っているところです。また、令和5年3月に決定した畜産・酪農緊急対策パッケージ(PDF : 772KB)では、新たな需要開拓のため、訪日外国人観光客や子ども食堂をターゲットとして牛乳を安価に提供する取組への支援も措置しました。〔令和5年3月に決定した畜産・酪農緊急対策パッケージの各事業紹介はこちら(PDF : 1,403KB)
   加工原料乳生産者補給金・集送乳調整金についても、生産コストの上昇を反映し算定した結果、令和5年度は10.85円から49銭引上げの11.34円となりました。
   こうした支援措置により、酪農経営の安定と消費者への牛乳乳製品の安定供給の確保を図っていきます。<令和5年3月28日更新>

事業名・内容、予算額

酪農家への交付時期

配合飼料価格高騰緊急対策事業

(R3補正230億円・R4年4月予備費435億円・R4補正103億円・R5年3月予備費380億円)合計1148億円

対象:配合飼料を利用する全畜種

内容:配合飼料価格安定制度の異常補てん基金に所要額の積み増しを実施し、生産者に補てん金を交付。また、令和5年度第1四半期以降、制度に新たな特例を設けて、補てん金を交付。

毎四半期

8,11,2,5月)

飼料価格高騰緊急対策事業のうち配合飼料価格高騰緊急特別対策(R49月予備費430億円・R5年3月予備費514億円)合計944億円

対象:配合飼料を利用する全畜種

内容:R4年度第3四半期については実質的な配合飼料コストを第2四半期と同程度の水準とするため、第4四半期については農家実負担額の急激な上昇を抑制するため、生産コスト削減等に取り組む生産者に対し、配合飼料価格安定制度とは別に補てん金を交付(第3四半期:6,750円/t、第4四半期:8,500円/t)。

第3四半期分

R5年2月末

 

第4四半期分

R5年5月末~

飼料価格高騰緊急対策事業のうち国産粗飼料利用拡大対策(➀R4年9月予備費74億円・➁R5年3月予備費71億円)合計145億円

対象:酪農経営のみ

内容:生産コストの削減や国産粗飼料の利用拡大に取り組む生産者に対して、補てん金を交付(経産牛1頭当たり都府県10,000円、北海道7,200円)。

R4年11月末~

3月中旬

 

➁R5年5月~

ウィズコロナにおける畜産物の需給安定推進事業(乳製品在庫低減対策・消費拡大対策(R4年度ALIC37億円))

酪農緊急パワーアップ事業(R5年度ALIC65億円)のうち乳製品在庫低減対策・消費拡大対策

消費拡大緊急対策(R5年度ALIC9億円)

内容:生産者と乳業者が協調し、業界の自主的な取組として基金を造成し、脱脂粉乳等の乳製品在庫低減を図る取組に対し支援(定額補助)。

業界による牛乳乳製品の販路開拓や消費拡大の取組を支援(補助率01月03日等)。

直接的な交付はない(拠出負担の軽減)

酪農経営改善緊急支援事業(R4補正50億円)

内容:早期に経産牛をリタイアさせ、一定期間生乳の生産抑制に取り組む場合、生産者団体等の一定の負担を要件に、奨励金を交付(経産牛1頭当たり15万円+生産者団体等5万円以上)。

5月以降規定の準備が整い次第

加工原料乳生産者補給金等(R5年所要額375億円)

乳代支払い時等

(タイミングは生乳の出荷事業者毎に異なる)



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Q11.乳価はどうやって決められているのでしょうか。

A.農協に出荷している場合、酪農家が生産した生乳は、農協がその販売委託を受け、さらに県域レベルの連合会が販売委託を受け、最終的には地域ブロック単位を束ねる指定団体が販売委託を受けています。指定団体が乳業メーカーと交渉し、乳価が決められています。〔参考06〕(PDF : 545KB)
   農協以外に出荷している場合は、その出荷先事業者が乳業メーカーと交渉し、乳価が決められています。
   乳価交渉は、生乳の生産コストや牛乳・乳製品の需給状況、乳業メーカーの経営状況など様々な要素を踏まえて協議がなされます。
   生乳は、日々生産され、需給が季節で変動するという特性があります。年度当初に決められた乳価で一年間取引される場合がほとんどですが、年度途中で情勢の変化があった場合には、期中で乳価の改定交渉が行われ、乳価が改定されることもあります。

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Q12.乳価が引き上げられても、赤字が続いている農家もいます。なぜもっと乳価を上げられないのでしょうか。

A.指定団体は、生産コストの上昇などで苦しい酪農経営の状況を踏まえて、平均的な経営体のデータ等をもとに、乳業メーカーとの価格交渉に臨みます。このため、個々の経営体レベルで見れば、乳価水準が十分であると考える経営体も十分でないと考える経営体もいらっしゃると思います。
   一般的に、価格を上げれば消費は落ちます。価格の上昇と消費の落ち幅を考慮して、価格を決めなければなりません。このため、乳価交渉では、生乳生産コストだけでなく、需給状況や乳業メーカーの経営状況など様々な要因を考慮して、生産者、乳業メーカー、消費者に受け入れられる水準を目指して協議されます。

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Q13.乳製品向けの乳価を補う補給金を10円ぐらい上げられないのですか。

A.加工原料乳生産者補給金単価は、毎年度生乳生産コストの変動や物価動向を踏まえ、算定ルールに基づいて決定されています。集送乳調整金を合わせた単価は、令和2年度から令和4年度は10.85円で据え置かれてきましたが、令和5年度は、生産コストの上昇を踏まえて算定し直した結果、49銭引上げ、11.34円となりました。
   しかし、本来生産コストの上昇分は、取引価格に適正に反映されるべきであると考えます。

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Q14.なぜ酪農には肉用牛経営のような収支差の一部を補塡する制度(通称:マルキン制度。収支差の9割までを補塡する事業。)がないのですか。

A.生乳は、食肉のような日々価格が変化する卸売市場での取引ではなく、生産者団体と乳業メーカーの交渉により牛乳向けと乳製品向けの用途別に価格が決められ、一年を通して安定した価格で取引することができます。
   牛乳は賞味期限が短いので(いわゆる「牛乳パック」の形で、冷蔵の輸入品を流通させることは課題が多いため)、国産の優位性が高く、その原料である飲用向け生乳の販売価格は、生産コストを上回る価格になります。一方で、バターや脱脂粉乳等の乳製品は、安価な輸入品と競合することから、その原料である乳製品向け生乳の販売価格は、生産コストを下回る価格にまで低くする必要があるため、加工原料乳生産者補給金等を交付することで、酪農経営の安定を図っています。
   仮に、収支の差の一部(マルキン制度では9割。)を補塡するような制度を、市場取引のない酪農に設けた場合、乳業メーカーも酪農経営も、それを前提として価格交渉を行うことになります。その結果、特に生乳が余っている時には、かなり低い乳価になりかねず、酪農経営にとって必ずしも好ましい状況にはならないため、同制度の導入は慎重に検討すべきと考えています。
   なお、10割補塡の導入は、他産業との公平性の観点から、また、生乳が余っていても、生産に歯止めがきかず過剰となり、牛乳乳製品流通に支障を来しかねないこと等からも、現実的ではないと考えています。

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Q15.なぜ国は国内の生乳が余っているのに、乳製品の輸入を行うのですか。

A.乳製品の輸入で今話題になっているのは「カレントアクセスの13.7万トン(生乳換算数量※1)」のことです。カレントアクセスとは、「関税割当※2」という仕組みを通じて一定の数量まで低関税で輸入できる機会を提供する国際約束です。
   国内の食品事業者などが関税割当を利用して乳製品を輸入したいと希望した場合は、国際約束により、その機会を提供しなければなりませんが、日本は、この輸入による国内への影響を緩和するため、国以外の者は輸入できないこととしています。
   このように、輸入できる機会を提供する国が自ら貿易を行う立場にあるため、貿易相手国に輸出する乳製品がない等の例外的なケースを除いて、国際約束に従って国が輸入することになります。

   ※1生乳換算数量とは:異なる乳製品の数量を足し上げるために乳製品を生乳の数量に換算したものです。
   ※2関税割当とは:一定量には無税又は低税率(一次税率)の関税を適用して需要者に安価な輸入品の供給を確保する一方、一定量の枠を超える分は、高税率(二次税率)の関税を適用することで、国内生産者を保護する制度です。

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Q16.日本はカレントアクセスの輸入枠13万7千トンを100%消化していますが、他国は100%消化していないと聞きました。なぜですか。

A.乳製品のカレントアクセスは、日本の13.7万トンの関税割当※とカナダのバターの関税割当を除き、すべてのものが、国家貿易ではなく、民間事業者が利用できる関税割当(「民間貿易」と呼びます)で提供されています。我が国では、乳製品等については、国内需給にできるだけ悪影響が生じないように、数量・時期等を国内需給を踏まえて決めることができる形として、国家貿易による一元的な輸入を行っています。
   なお、カナダのバターと日本の13.7万トンはこれまで100%消化されていますが民間貿易では、100%消化されないものが多くあります。
   約束しているのは「輸入機会の提供」であるため、輸入したいという事業者がいなければ、必ずしも輸入しなくても問題とならないためです。
   しかしながら、我が国の場合は、民間貿易にすると、かえって数量・時期等を国内需給を踏まえて決めることが出来なくなり、国産品と競合する製品の輸入が、今以上に国内生産に悪影響を与えることになるおそれがあることから、国家貿易により輸入することが適当と考えています。
   実は、日本の乳製品にも、13.7万トンの関税割当以外に複数の民間貿易による関税割当があります。例えば「学校給食用脱脂粉乳」という関税割当については、需要が少ないため、消化率は毎年20~30%程度です。これらの関税割当は国内の需給に悪影響を与える心配はありませんので、国家貿易ではなく民間貿易にしています。

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Q17.国家貿易をやめて民間貿易にすれば、全量輸入しなくてよくなるのでしょうか。

A.国家貿易をやめ、13.7万トンを民間の事業者が使うことができる民間貿易の関税割当にした場合、国内に需要がなければ全量輸入されなくても約束違反にはなりません。
   しかしながら、国内の事業者からの安価な輸入乳製品に対する需要の動向を考慮すると、実際には全量が輸入されることになると考えており、しかも、この場合、輸入される乳製品の時期、数量などをコントロールすることができません。
   一方で、国家貿易には、国内の需給に悪影響を与えないよう輸入の時期や数量などを管理できるメリットがあります。そのため、引き続き、国家貿易により輸入を行っていく必要があると考えています。

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Q18.国内で乳製品が余っている間は輸入しなくてもよいよう、他国と交渉して約束の内容を変えられませんか。

A.WTOでの国際約束は関係国と協議し、それらの国すべての了解がなければ、見直すことができないルールになっています。日本で乳製品が余っている時に輸入しなくてもよいようにするということは、輸出国側からすると輸出の機会を失うことになります。
   このような国際交渉では、通常、相手国が失った利益に相当する利益を提供するための新たな約束を結ぶことを求められますので、日本が一方的に得をするような結果を期待することは現実的ではありません。

WTOでの国際約束:平成5(1993)年に妥結したウルグアイ・ラウンド合意において、我が国は13.7万トンの乳製品の輸入機会を提供(厳密には「一般の用途に供する指定乳製品等」という名称の関税割当を設定)することとされました。合意に当たっては、輸入機会の提供は、少なくとも1986年から1988年までの平均輸入数量とすることとされていました。

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Q19.余っている乳製品を国が買い上げ、食料援助を必要としている国に送ればいいのではないでしょうか。

A.食料援助は、相手国からの要請に基づいて行われます。一般に食料援助は調理の必要がなくすぐに食べられる食品が好まれ、脱脂粉乳に対する要請は今のところありません。
   乳製品を国が買い上げて食料援助を求めていない国に送れば、食料援助とは言えず、農産物貿易に関する国際ルールに違反するおそれがあります。

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Q20.日本は乳製品(チーズ)を大量に輸入しています。輸入をやめれば、生乳生産を抑制する必要はないのではないでしょうか。

A.輸入乳製品の大半はチーズですが、チーズは国が輸入量の管理をできない品目です。チーズについて、これだけ多くの輸入品が国内の小売事業者や食品加工業者から選ばれているのは、低価格であることが主な理由です。〔参考07〕(PDF : 543KB)
   輸入品に対抗できるよう国産チーズの価格を下げれば、国内の酪農家の収入がさらに減ってしまいますので、かなり難しいと考えます。
  ただ、輸入品と価格で対抗するのではなく、品質やブランドで勝負できる付加価値の高いチーズの生産量を増やしていくことは、今後の生乳需要の拡大のために重要と考えており、国としても支援しています。

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Q21.生産抑制を支援する国の事業(酪農経営改善支援事業)によって、廃用牛価格がさらに下がってしまうのではないでしょうか。

A.国の補助事業により廃用牛の供給量が増加する可能性はありますが、廃用牛価格は、その供給量が増加するタイミングや、その時の需要の状況、競合する輸入牛肉の相場など要因は複雑に絡み合うので一概にお答えすることはできません。

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Q1関連.国は増産方針を出していたのに、なぜ減産するのですか。

A.平成26年のバター不足騒動などを受け、乳業メーカーも生産者団体も生乳をしっかり生産して供給責任を果たしていくことを目指してきました。
   そのような中、平成27年10月にTPP協定が大筋合意したことから、同年11月に「総合的なTPP関連政策大綱」を決定し、国として、畜産・酪農経営の体質強化のため、地域の関係者が連携し、畜産・酪農経営の収益性の向上を図るために必要な、牛舎などの施設整備や搾乳ロボットなどの機械導入支援などの生産基盤強化対策を講じてきました。
   こういった背景の中、酪農経営体は自らの経営判断の下、体質強化に取り組んだ結果、令和元年度以降、生乳生産は増加に転じました。〔参考04〕(PDF : 543KB)
   乳業メーカーや生産者団体が業界の発展のため、さらなる増産を希望したことから、国は、令和2年3月に、生乳生産量を令和12年度までに10年間かけて728万トンから780万トンに増やす方針を示しました。
   しかしながら、新型コロナにより需要が減少し、生乳が余り、さらに、ウクライナ危機や円安の進行により上昇した生産コストが乳価に転嫁しにくい環境になっています。
   こうした状況を打開し、適切な価格転嫁を実現するために、生産者団体では、生乳が余っている状況を改善する取組の一つとして自らが一時的な生産抑制を決断し、取り組んでいます。
   国は、一時的に生産抑制に取り組む生産者への支援策を行っています。また、消費拡大や乳製品在庫の低減対策への支援も続けており、生産と需要の両面から、需給ギャップ(需要量に比べて生産量が多い状況)を解消しようとしています。

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Q4関連.諸外国では余った乳製品は国が買い取っていると聞きました。なぜ日本では生産者が対策費を負担するのですか。

A.アメリカやEUでは、余った乳製品を国で買い上げる仕組みがありますが、単純に在庫が積み上がったことを理由に買い上げられているわけではありません。
   アメリカでは、フードバンク活動※に対する支援の一つとして、政府が農家や食品製造業者から余剰農畜産物を買い取り、フードバンクへ提供する仕組みがあります。2020年の新型コロナの感染拡大時には、失業者が増加したため、政府が国内産の青果物や乳製品を地元で調達し、団体が箱詰めして生活困窮者に対して配布する対策が実施されました。
   EUでは、供給過多に伴う乳製品価格の低落に対して、乳製品が一定の価格を下回った場合、政府が余剰乳製品の買い取りや民間在庫への保管料補助を通じ、市場に流通する乳製品を減らすことで乳製品の価格を安定させる仕組みがあります。2020年の新型コロナの感染拡大時に乳製品在庫が増えた際には、政府による買い取りではなく、民間在庫の保管費用の一部支援が実施されました。
   我が国では、食品ロスの削減を目的として、フードバンク活動への支援(輸送費の補助など)を行っています。また、2020年の新型コロナの感染拡大時には、余剰農畜産物を団体が買い取り子ども食堂等に提供した場合に、農畜産物の買取価格を政府が補助する支援策を実施しました。フードバンク等への支援内容については、余剰乳製品の解消を目的に考えるのではなく、フードバンク側のニーズに応じて真摯に検討していくものと考えています。
   また、乳製品価格の安定のための政府の買い取りですが、我が国の場合、EUと異なり乳製品を製造する段階で、加工原料乳生産者補給金として税金が投入されています。税金が投入されてできた乳製品を、さらに税金を使って買い取ることは税金の使い方として適切ではないと考えます。
   国は、令和2年の新型コロナによる需要の減退以降、乳製品在庫の低減に取り組むメーカーや団体に対しその費用の一部を支援してきました。令和4年度からは全国の生産者と乳業メーカーが拠出して行う乳製品在庫の低減の取組に対して、国も支援を行っています。令和5年度についても引き続き支援を行うことで、乳製品在庫の低減を図っていく考えです。

  ※フードバンクとは:食品関連事業者その他の者から未利用食品等まだ食べることができる食品の寄附を受けて貧困、災害等により必要な食べ物を十分に入手することができない者にこれを無償で提供するための活動を行う団体。

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【消費者向け】

Q1.ニュースでまだ乳を搾れる牛が処分されていると聞きました。なぜですか。

A.乳牛は、通常3~4回子牛を生んで乳を搾り終えて、4~6歳程度でリタイアし、食肉として出荷されます。その多くは、「国産牛」としてハンバーグなどのひき肉やコンビーフの原料に使われています。また、乳牛は子牛を生まなければ乳を搾れないため、妊娠しにくかったり、乳量が少なかったりするなど、経済合理性の低くなった牛は、3~4回子牛を生む前に食肉出荷されることもあります。
   現在、生乳が余っている中で乳牛のエサの価格が高騰するなど、酪農家の経営環境が悪化しています。生産コストの上昇を販売価格に転嫁していかなければ経営継続が難しい状況ですが、生乳が余っている中ではそれを改善することが難しいため、生産者団体や乳業メーカーが、消費拡大の取組や生産量を抑える取組により、生乳余りの状況を改善しようとしています。
   生産量の抑え方にはいろいろありますが、乳牛1頭当たりの生産量や搾る時期は自在に調整できないため、エサの中身や量を変更したり、経済合理性の低くなった牛を食肉として出荷し、調整しています。生産者団体では、自らの負担により、令和4年度からこうした取組を行ってきましたが、令和5年度も引き続き取組を続ける方針となったことから、国としても酪農家の負担を軽減するため補助金を交付して、その取組を後押しすることにしました。
   なお、ニュースなどで「殺処分」という表現がありますが、通常の食肉出荷を早める取組に対して、この言葉を使用することは、酪農業の実態を正確に表しておらず不適切と考えます。
   家畜の命を粗末にせず、感謝しながら畜産物を消費していただけるよう、今後も丁寧に説明してまいりたいと考えています。

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Q2.生乳が余っているのになぜ牛乳の値段は上がっているのでしょうか。

A.通常、余っているものは値段が下がる傾向があります。生乳は余っているものの、ウクライナ危機や円安の進行など、乳牛のエサの価格の高騰などにより、1年前と比べると生産コストが急上昇し、経営が悪化した酪農家が増えています。
   この状況で牛乳の値段が下がると、酪農家の経営は苦しくなり廃業がさらに進む可能性もあります。乳業メーカーや小売店などもこのことを理解しているため、牛乳の値段はなかなか下げられないのです。

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Q3.酪農家のために私たち消費者にできることは何ですか。

A.皆様に「月に1度、コップ1杯(200ml)」を追加※で飲んでいただければ、生乳需給が大幅に改善します。これだけで、生産抑制の取組をかなり減らすことができます。
   さまざまな物の値段が上がる中、家計のやりくりに苦労されている方もいらっしゃるかと思いますが、今より少しでも、牛乳、ヨーグルト、アイスクリームを多く買っていただくことが、酪農家への何よりもの支援となります。
国も生乳の需給安定のために全力を尽くしますので、皆様の御協力をお願いいたします。

  ※月に1度、コップ1杯(200ml)を追加で飲むと、1年間で200ml×12か月×1.2億人=約30万トンの消費が増えます。

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Q.コロナ前の酪農経営はどのような状況だったのでしょうか。

A.コロナ前は生乳が不足基調で推移し、かつ乳牛のエサの価格も安定していたため、積極的な投資が盛んに行われるなど、今よりも安定した環境下で経営できていました。

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(参考) 生産コストと所得の推移(PDF : 347KB)(畜産をめぐる情勢はこちら
            乳用牛飼育戸数・頭数の推移(PDF : 363KB)
            資料:(一社)中央酪農会議

お問合せ先

畜産局牛乳乳製品課

代表:03-3502-8111(内線4932)
ダイヤルイン:03-3502-5987

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